ジェンツー備忘録

Carpe Diem。今思っていることを気ままに書きます。要は自己満足。

【エッセイ】退院が寂しい

今日まで入院をしていた。

 

3月18日から22日までの計5日間。

 

人見知りで神経質で、人と関わるのが苦手な性格だから

さっさと終わらせて帰りたいと、入院前は思っていた。

 

でも、いざ退院の時を迎えると寂しくてしょうがない。

看護師さんたちや医師の先生方、事務の方々がよくしてくれたから。

 

大学から現在まで約7年間一人暮らしをしていて、

実家にもほとんど帰らず、親しい友人も恋人もいない。

 

限りなく孤独を極めつつある自分にとって、

自分を気遣ってくれて優しく声をかけてくれる人たちがいるあの環境は

とても暖かかった。

 

何年もの間見失ってしまっていた人とつながる幸せを

この5日間で思い出した気がする。

 

「よく考えれば、自分も人と一緒にいてこんなにもうれしいと思える人間だった」

 

そんな風に思った。

 

それをきっかけに内省する。

 

いつの間にか「人と居るのが苦痛」と考えるようになっていたが、

当初は、単に人付き合いがうまくないだけだった。

それが何年、十何年という時間を重ねることで、

「うまくいかないなら必要ない」と考えるに至ったように思う。

 

親の言葉も影響が大きい。

「良い子にしなさい」という呪いの言葉を何度も投げかけられ、

それを「他人の顔色を伺うこと」「他人の機嫌を損ねないこと」

と解釈した幼い自分は、

自分の願望を常に押し殺し、他人の顔色を伺って生きてきた。

 

それはとてつもない苦痛だった。

 

考え方を変えようと思っても、

それが思考のベースになってしまっていてどうしようもない。

自分の願望をかなえたいけどどうしても「他人がどう思うか」を考えてしまう。

 

いつの間にか我慢の糸はプッツリと切れ、

人付き合いを「苦痛だからいらない」と切り捨ててしまっていた。

 

でも今回の入院で人の暖かさに触れ、

人との触れ合いが幸せに感じられると、

自分でもそう思えるのだと気づくことができた。

 

心の温度が少し、上がった気がする。

 

去年の秋に占いに行ったことがあった。

「自分の幸せがわからない」と相談したら、

「あなたの幸せは他人を幸せにすることだ」と言われた。

 

その時は「確かにそうかも」と思いはしたが、

よくよく考えるとそれは他人の顔色を伺うことと同じではないかと

すぐに反発心を抱いた。

 

だが、この入院でやはりそれは自分の幸せなのだと気づいた。

 

「他人のこと考える」というのは自分の本質的な思考回路のパターンなだけであって、

それが苦痛をもたらすか幸せをもたらすかは

捉え方次第なのだと、ふいに理解することができた。

 

「願望を押し殺して他人の機嫌を取る」のは苦痛

「相手が喜んでくれるよう思考をめぐらして、結果感謝してもらえる」のは幸せ

 

そう思えるようになったのは大きな収穫であった。

 

これからは自分の願望も大事にしようと思う。

願望を主張することが直ちに嫌われる要因にはならないと、

他の入院患者と看護師さんとのやり取りで気づいたから。

 

自分の幸せと自分の願望。

2つのテーマについて、思いもよらず得るものがあった。

 

今回、暖かい空間を提供してくれた病棟スタッフの皆さんに感謝を申し上げたい。

 

ありがとうございました。

 

さいたま赤十字病院 看護部( http://www.saitama-rc-nurse.com/index.php )